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ハチワンダイバー(文字山戦の中盤)

ハチワンダイバーの文字山戦、漫画的には終盤に入ってから1話に2手しか進まず間延びしてましたがw、棋譜が素晴らしいので、紹介します。

実は、実在の棋譜(漫画でも監修に参加している鈴木大介八段の実践譜)を先後逆にしたものが漫画に使われているので、2chなどではその棋譜を元に主人公を後手として、局面が検討されているのですが、

ここでは漫画に忠実に主人公を先手扱いにして、中盤部分から解説します。

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ここで先手(主人公)の手番のようです、序盤は余裕の態度で穴熊に組ませるのを見送っておいて、中盤になって「よくなる筋が見つからない」とあせりはじめてますw

この局面、私には難しくてよくわかりませんが、漫画の描写ほどピンチってほどでもなく、どちらを持っても指せるような気がします。

例えば、このまま終盤に突入した場合、

先手なら、さばいた後に、桂角金などを狙える飛車打ちや、角の働きに差がつくさばき方で攻めあいに持ち込みたいなと思いましたし、後手からすれば、4三金を守りに移動してから飛車交換して6筋からと金攻めや、敵の飛車角を封じたまま7~8筋を突破できればいいなと思いました。

そして漫画の流れでは、後手(文字山)が飛車を成りこんだのに対して、先手(主人公)は敵の角を押さえつつ3~5筋を上から押さえ込んだようです。

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ここで後手の手番、

よく見ると、先手は4三歩成から攻めがあるのに対し、後手は早い攻めが見えません。角は封じられ、竜とと金だけでは5筋の守りを突破できません。▲6五竜▽4三歩成の流れは先手有利ですし、飛車交換しても先手がさらに有利に傾きそうです。

後手は銀損ですし、後手が竜を作るために無理攻めをしたものの先手がうまく受けた、かのようにも見えるのですが、後手の文字山は、これは想定の範囲内と、自信満々に攻めを続けてきます。

以下、▽5六竜▲同金▽5八と▲同金と進み、

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後手の攻めは切れてるので、この勝負は先手の勝ち?でも文字山の自信はなんなんだ?はったりか?と思っていたら、意外な所で攻めが継続していました。

以下、▽3六桂▲3九角▽8四角

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もしこれを▲同角とすると、▽2八飛▲1六王▽3八飛成、と一気に寄られてしまうので、角は動かせません。

結局、▲7五歩▽同角▲6六銀▽同角▲同金と処理しますが、ここで、文字山のお気に入りの「なるぞう君」が表舞台に立ち、▽4七歩と打たれ、主人公から「完全に喰いつかれたっ!」というセリフが出てきました!

(補足)
2chでは初心者の方から▲7五歩が意味ないのでは?という質問も出てましたが、大駒は近づけて受けるのが手筋で銀を角に直撃させることで相手の手を限定させることができます。▲7五歩を省くと後手からいつでも角銀交換できる余地を残すので、1歩を捨てる価値は十分にあるのです。ちなみに、▲6六歩は2歩になるので打てません。

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さっきの局面ならこの攻めは成立しなかったのですが、角を使って歩と銀を補充された今では成立しています。

▽4七歩に対して、自分だったら同金と取っちゃってると思いますが、その後の▽5九飛に対する受けが難しく、先手の負けのようです。

後手も駒不足で先手玉は広いので、後手の攻めも楽じゃないと思いますが、先手が▲4三歩成から4二、3一、2一と4手もかけて攻めていたら、文字山の自信っぷりからして先に詰まされるんじゃないかと不安になります。特に相手が穴熊で王手ができないのでは、漫画内で解説されている通り凶悪な強さで、攻防の好手も簡単には見つかりそうもありません。

なら敵の弱点である駒不足を突いて、受け切ろうとしても、味方の駒は分散してしまってますし、守りに専念してたら時間的にも不利になるし、なんてことを考えている間にも時間が時間が・・・

という状態で終盤突入なのです。

ここでは文字中心の説明しか表現できませんが、漫画の描写が素晴らしいので是非皆さん漫画も読んで見て下さい。将棋がわからない人でも、形勢が2転3転する過程での心理描写や、強敵を相手にしている時のハラハラ感などが楽しめると思います!

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